「ネクロポリス」文庫版

studio_unicorn20090108

ネクロポリス 上 (朝日文庫)ネクロポリス 下 (朝日文庫)
 私が今最も大好きな小説家である恩田陸さんの、素晴らしい長編大作「ネクロポリス」の文庫版が発売された。
 本日書店で並んでいるのを発見して、おおついに出たかと感慨。さすがに私はハードカヴァーで持っているので、この文庫版は買わないけれど、著者自身の短いあとがきと萩尾望都さんによる解説を立ち読みする。
 「ネクロポリス」は、私が最初に読んだ恩田さんの小説であり(2005年11月18日の日記参照)、かつ恩田さんの最高傑作のひとつである、と私は、その後何冊も恩田さんの小説を読んだあとでも思っている。それほどに、この長大な物語は私の心を捉えて話さないのだ。
 文庫なので、あのハードカヴァー版の、表紙や見返しに藤田新策氏の素敵なイラストがちりばめられた素晴らしい装丁は望むべくもないが、カヴァーには藤田氏のイラストが使われており(もしかして新たに描き下ろし!?)、物語の世界は伝わってくる。何より安価な文庫版なので、これまで以上に多くの人に手にとって欲しいと思う。以前も書いたが、ファンタジー好きな人にもミステリー好きな人にも、英国が大好きな人にももちろん、そして何より物語が大好きな人に、強く強くお薦めしたい一冊(いや、上下巻なので正確には二冊か)だ。
 と書いているうちに、私もまた読み返したくなってきた。また、あの英国と日本が融合したような国「V.ファー」に遊んでみたいものだ。

(写真は、英国コッツウォルズのカースル・クームCastle Combeにて。2008年9月9日撮影)