京都2日目・北山杉

 北山杉が見たくて、よせばいいのに高山寺から周山街道をさらに奥へ、バスに乗って行ってみる。雑誌に載っていた中川北山町というところで降りる。そろそろおなかがすいてきていたのだが、行けばなんかあるだろうと高をくくっていたのだが、これが大間違い。なんにも、本当ーーっにナンにもない。あるのは民家と製材所ばかり。雑貨屋ひとつないので、おにぎりすら買えない。しかもバスは1時間に一本、かと言って歩いて戻るのは時間がかかりすぎる。というわけで、町の中をぷらぷら歩いたり、川辺でぼけーっとしたりして過ごす。
 肝心の北山杉は周囲の山々にたくさん植えられていて、十分に堪能することができた。とにかくどの木も幹がぴしっと定規で測ったようにまっすぐで、下のほうは丁寧に枝を払っているのだろう、木の上のほうにだけ枝がついて葉が生えている。梵天耳掻きをずらずら並べたような感じだ。この町に丸太を作る製材所が多いのもなるほどとうなづける。
 川辺でぼけーっとしていると、学校帰りらしい小学生が「こんにちは」と声をかけてきた。都会じゃあまりないなあ、こういうの。とんだ時間つぶしになってしまったが、のんびりできたし、町の素朴な風情に触れることもできたし、まあよしとしよう。