京極夏彦さんの新刊「南極（人）」を購入。
京極夏彦さんはものすごく好きな作家の一人だが、今まで読んだことがあるのは、かの"京極堂"こと中禅寺秋彦などが活躍する「百鬼夜行シリーズ」（「妖怪シリーズ」）を除けば「ルー＝ガルー」だけで、この本のようなギャグ＆パロディーものは今まで読んだことがなかった。なかなかそこまで手が回らない、というのが本音である。
しかし、この「南極（人）」は、装丁をかの祖父江慎さんが手がけており、祖父江さんらしく凝りに凝りまくった造本になっている。エピソードごとにフォントや段組やページ構成や紙質を変え、途中に遊び紙やカラーイラストを挟み、細部に至るまでの懲りよう。さらに故赤塚不二夫御大を始め、秋本治・山極なつひこ（山上たつひこ）・古屋兎丸・しりあがり寿らの豪華イラストつきと、見ているだけで楽しい本の造りになっている。
この、出版社の制作担当者を大いに苦しめたであろう（笑）てんこ盛りで凝りまくりの装丁も、決して無意味にやっているのでなく、きちんとした意図の下になされているのであって、それが帯に書かれている「全篇絵入り滑稽本」をこの本が目指した、ということなのだろう。手に取るだけでそれが伝わってくるこの装丁は、さすがと言う他はない。
