原研哉デザイン展:本

デザインのデザイン Special Edition白
 実は今日吉祥寺を訪れたのには一応主目的があった。吉祥寺伊勢丹にある武蔵野市立吉祥寺美術館にて、私が最も好きなデザイナーである原研哉さんの装丁デザインを集めた「原研哉デザイン展:本」が開催されており、原さんのデザインの大ファンである私としては、どうしても観たかったのだ。
 徹底した引き算の思考によるシンプルを極めたデザインが素晴らしく、またそのブレない思考をきちんと言葉にできる力を兼ね備えた原さんの仕事については、これまでも何度か書いてきたが(2007年10月29日の日記2008年12月24日の日記など参照)、中でも近年の書籍の装丁デザインは、その思考を極限にまで突き詰めたような、素晴らしい作品ばかりである。そんな原さんの装丁の仕事を一堂に俯瞰することができる機会なのだから、これは見逃すわけにはいかない。
 「友人、原田宗典がモノ書きだったおかげで。」という副題がついているとおり、原さんとは高校時代からの旧友だという小説家・原田宗典さんの本の装丁をはじめ、90年代の"お仕事"としての装丁から、転機となる2000年の「RE DESIGN」や1998年の長野オリンピック開会式パンフレット、そして名著「デザインのデザイン」以降のシンプルさを極めた自著や自らが大きく関わったプロジェクトなどの本まで、さまざまな原さんの装丁の仕事の跡=本が展示されている。
SKELETON―原研哉・佐藤卓パッケージデザイン集NAOTO FUKASAWA
 特に最近の仕事の成果は、観客が直接手にとって触り、開き、見、読むことができるのがよい。手に取ることができる本のうちの半分以上は、私自身も持っている本だったりする(笑)。だが、それでも、私も持っていない原さんと佐藤卓さんのパッケージデザインを写真家・藤井保さんが撮影した、今では稀少な作品集「Skeleton」を手にとって見ることができたり、海外Phaidon社のためにデザインした深澤直人さんや坂茂さんの作品集(この2冊はまだ手に入れやすい)を見れたのは大きいかな。あと雑誌「一冊の本」の表紙デザインを、まとめて見ることができたのも収穫だった。満足なり。はるばる吉祥寺まで見に来た甲斐があったな。「Skeleton」すごく欲しいな。どこかで手に入れられないかな。
 売店には、当然のように原さんの本および原さんがデザインした本が並んでいる。原さんの師匠筋に当たるデザイナー・向井周太郎氏の著作集を原さんが装丁した「かたちの詩学」のハードカヴァー版(しかもとても状態の綺麗な本)があるのを見つけて購入してしまった。この本のハードカヴァー版は、もう書店では美本を見つけるのがとても困難になっているので、いい機会だったな。