テロの、テロ以上の、テロ以前の

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 あああああ。

 【ロンドン山科武司】ロンドンで21日午後1時(日本時間同9時)ごろ、3カ所の地下鉄駅とバスで4件の爆発と爆発未遂事件があった。ロンドンでは7日、国内で主要国首脳会議(G8サミット)が開かれているさなかに地下鉄車内など4カ所で同時爆破テロが発生し、少なくとも56人が死亡する事件があったばかり。ブレア首相は午後の日程をキャンセルし、ストロー外相らと急きょ、緊急対応の協議を始めた。
 ロンドン警視庁によると、乗客が避難した地下鉄駅はウォレンストリート▽シェパーズブッシュ▽オーバルの各駅で、英BBCテレビなどによると、このうちウォレンストリート駅で乗客のリュックサックが爆発した。警察当局によると、1人が負傷した。負傷者はリュックサックの中に起爆装置を持っていた可能性があるという。
 また、シェパーズブッシュ駅では、男が「自爆する」と脅した後、逃げたという。オーバル駅では小さな爆発音があり、車両が駅に到着した際に男がホームから逃げ去ったという。
 3駅は閉鎖され、地下鉄はビクトリア線、ノーザン線など3線で運転を見合わせた。
 また、ロイター通信によると、ロンドン東部ウォータールーからハックニーに向かっていたバスでも爆発が起き、窓ガラスが割れた。けが人はなかった。バス会社によると、運転手が2階建てバスの2建部分から爆発音のようなものを聞いたという。BBCテレビは、後部座席に置かれていたリュックサックが爆発したと伝えている。
毎日新聞) - 7月21日23時57分更新

 私たちの帰国後わずか5日後の出来事……。何より犠牲者がいなかった(現時点では)ことをせめてもの救いとしたい。
 改めて、テロを含め物理的・精神的を問わず全ての暴力に、断固たる反対の意思をまず宣言した上で、気になったことを書いておく。
 まず、前回のテロに比べ爆発などの規模が非常に小さいこと。地下鉄3・バス1と前回の事件と数が一致している割には、爆発地点が(地図を見れば分かる方にはお分かりでしょうが)ロンドンの本当の中心から離れた地点ばかり&特に交通の要所でないこと。前回のような自爆テロでは(おそらく)ないこと=「決死感」が薄いこと。前回のサミットのような象徴的なイヴェントが行なわれていないこと。などなど、考えてみると、今回は、前回のテロの「模倣犯」的な犯行ではないだろうかと思える。実際はどうなのかわからないけれど、そんな気がする。
 テレビで「テロの非組織化、個人化」ということが言われていたが、そうだとすれば、今回の事件も、過激思想に染まった少数の者が、特定の目的もなく爆破を起こしたのだとすれば、これはある意味(もちろん許されざる犯行であるのだが)「テロ以前」とも言えるのかもしれない。政治や民族・宗教的な問題以前の、我々の社会そのものが根本から抱えている問題みたいなものと、深くつながっているような気がしてしまうのだ。
 そういう意味では、海の向こう(我々はほんの5日前にその街にいたのだが)で起こった爆破と、この国(日本ね)で日常的に営まれている平和(に見える)な生活とは、実は深いところで同じ病理を抱えているような気さえしてくるのだ。いずれにしても、よく考えてみたいことだ。
(写真と本文は関係ありません。旅行先のLondon, Mayfairにて)