刹奈さんのこと

 ご冥福をお祈りします。
Lotus love (マンサンコミックス) 恋愛キネマ (マンサンコミックス)
 今日偶然知ったのだが、かなり以前から交流があったまんが家・刹奈さんが昨年末に亡くなっていたことを知り、あまりのショックに呆然としてしまい、それ以降の仕事がまったく手につかなくなってしまった。
 何気なく久しぶりにオフィシャルサイトを見たら、何か様子が変なので、気になって検索をかけてみたら、死去の知らせにぶち当たってしまったのだ。
 改めて、人の命の儚さをしみじみとかみしめる。
 2月に入って初めて知るなんて、あまりに今さらすぎて大馬鹿者という感じなのだが、私と彼女の関係を知る人は(変な意味ではないが)あまりいなかったと思うし、誰にも全てを把握できないくらい交流の広かった人だったから、とても私のところまで連絡が来るような状況ではなかったのだろうと思う。最後にメールをやり取りしたのは、昨年の11月だった……。
 成人向けまんが家として第一線で活躍していた刹奈さんだが、8〜9年前、私が少女まんが誌の編集者をしていた頃、少女まんが家デビュー前の投稿者としての彼女を指導・担当していたのが最初のお付き合いだった。私が編集の仕事を離れ、彼女が活躍分野を変えて成人向けまんが家として地位を確立したのちも、個人的なお付き合いで、多忙の中で折を見てはお会いして食事したり、私の初めての作品展に来てくださったり、出版したご自身の単行本を下さったり、いろいろな節目に交流を持たせていただいていた。
 何があってもめげず、元気で前向きに向かっていた刹奈さん。言葉に尽くせないくらい素晴らしい人でした。決して多くはないけれど、それでも刹奈さんの思い出を書き出したらきりがないくらいです。若くしての、ましてやまんがはもちろん他分野の仕事も意欲的に取り組んでいた途半ばでの、突然の訃報(私は今頃知ったわけですが)に、やりきれない気持ちが抑えられません。
 安らかに、刹奈さん。
Lamentate Confessions on a Dance Floor
 刹奈さんのご冥福を祈って、鎮魂としてペルトArvo Part(正確にはArvo Pärt)の"Da Pacem Domine"を、そしてもう1曲、刹奈さんのイメージにぴったりの、今一番気に入っているマドンナMadonnaの"Jump"を捧げます。きっと刹奈さんのことだから、この青い空の遥か上の、さらに高みまでジャンプし、飛翔していこうとなさっていることでしょう。
 刹奈さんとの出会いに、心の底からのありがとうを申し上げます。