京都1日目・東福寺

 まずは京都駅の南東、東福寺へ。実はここを訪れるのは3度目だ。新しい、未知の所にもすごく行きたいのに、ついついすごく気に入った場所にまた行ってしまう。我々の悪い(?)クセです。
 そもそも5年前に最初に京都へ来たとき、妻がまず見たがったのが、枯山水の石庭だったわけで、「じゃあ東福寺ってのが良さそうだぞ」と行ったのが最初だった。その後、東福寺の他にも、龍安寺南禅寺といった、石庭が有名な寺の庭をいろいろ見たのだが、玉砂利の模様といい、模様のつけ方の深さといい、モダンな感覚を備えたデザインといい、東福寺・方丈の庭が一番好きだ。
 暑い中を歩いたせいで汗だく&喉カラカラになりながら、東福寺に到着。臥雲橋からの東福寺の眺めは、燃えるような新緑に包まれて、相変わらず素晴らしい。木々はほとんどモミジなので、晩秋には鮮やかな紅葉に彩られるらしい。このお寺の本当の見所は秋、なのだそうだ。といっても、秋には京都に来たことありまへん。予約とれないし、混んでるし。
 他にものには目もくれず、まっすぐ方丈へ。中に入り、かの重森三玲氏設計の枯山水の石庭を望む廊下に出ると、涼しい風が伝わってきてホッとする。汗に火照った体が静まってくる。のんびりと落ち着いた気持ち。静謐が体に満ちてくる。やっぱりここはいいわ〜。
 石庭をしばらく眺めていると、玉砂利に描かれた模様が、一昨年以前に見たのと変わっているのに気づく。前に見たときは、地面にいくつもの正円が描かれ、さながら小石などを投げ込んだときに水面に表れる波紋のような様相を呈していたのだが、今日のは3分の1くらいの円弧が向きもまちまちにランダムに散りばめられている。まるで何方向からものさまざまなさざ波が混じり合ったかのような模様だ。これは作成した方の仏教観・禅観の変化だろうか。それとも、単に飽きたので違う模様にしたのだろうか。いずれにしても、日が傾くにつれ、刻々と変化してゆく玉砂利の模様の様相を眺め続けるのは、とても心地よい。
 方丈の裏面には、同じく重森氏が設計した、苔のグリーンと石のグレーとが市松模様になっている、何ともモダンで素晴らしい庭があるのだが、今年は寒い季節が長引いたせいか、まだ苔が生えきっておらず、完全に鮮やかなグリーンで埋め尽くされていなかったのが、ちょっと残念だった。
 東福寺のそばには、別名雪舟寺と呼ばれる「芬陀院(ふんだいん)」という小さいお寺がある。かの雪舟が設計したといわれる庭園と丸窓が印象的な離れの茶室以外、特に見所はない「知る人ぞ知る」寺なのだが、座敷の端や縁側からその庭を眺めてボーッとしていると、不思議と落ち着いた、静謐な心持ちになってくるような、とても安らぐ場所である。たいてい午後4時に閉めてしまう京都の寺では例外的に、夕方5時まで開いているのもいい。東福寺の後は、ここもすごくオススメである。