思い出のピンク・パンサー

ピンク・パンサー リミテッド・フィルム・コレクション DVD-BOX
 いよいよ、「ピンク・パンサー リミテッド・フィルム・コレクション DVD-BOX」からのシリーズ鑑賞も、今夜の第5作「ピンク・パンサー4」までたどり着いた。
 この「ピンク・パンサー4」こそは、私が小学5年生のときに、映画館で観た映画である。劇場で、字幕つき外国の映画を観たのは、この年の夏の「スターウォーズ」が初めてだったのだが、それに続き、これが二度目の体験だった。上映が始まるまでアニメ映画だと思い込んでいた私は、始まったとたん実写だと分かってすごくびっくりしたのを覚えている。しかしそれもほんのわずかな間、あとは大笑いしまくったのみ(笑)。子ども心に、あのべたなドタバタギャグはすごく面白かったのですよ。
 しかし、改めて観ると、この「4」でのドタバタぶりはすごい。とにかく爆発し、壁を突き破り、やたらに落っこちたり破壊しまくる。後半は香港に舞台を移しても、やっぱりすることは同じ(笑)。意味もない大げさな変装や、登場したとたんぶっ壊れる"シルバー・ホーネット号"など、むちゃくちゃぶりは天下一品だ。さしずめ、日本なら"ドリフ"だろうか、あるいは米国のカートゥーン・アニメに通じるギャグ要素か。愛すべき"おバカ映画"に仕上がっている。
 ドタバタの末に大手柄を立てるクルーゾー警部を演ずるピーター・セラーズが世を去るのは、この映画の2年後。そのことを思うと、なにやらドタバタぶりまで哀愁を帯びて……こない(笑)。徹底した"笑い"の追及。最後までコメディ俳優を通したこの名優の早すぎる死が、今でも本当に惜しまれてならない。その意味でも、この「4」は(意図せざるものであっても)シリーズの"締めくくり"を感じさせる傑作だったと思う。