フランス3日目・Abbaye de Fontenay

 すぐにフォントネー修道院Abbaye de Fontenayに到着。12世紀に建てられたシトー会の修道院で、世界遺産に登録されている。フランスらしく幾何学的に設計された庭園の中に、ロマネスク様式の聖堂や回廊、その他の建物が点在している。青空をバックに聳え立つ質素な聖堂が、冴え冴えと白い。
 シトー会は清貧を旨とするだけあって、この修道院も装飾はほとんどなく、実に質素かつシンプル。ミニマルですらある。聖堂の中は思っていたよりも広く、大きい。薄暗い空間に窓からの光が差し込み、凛とした静謐な空間を形作っている。この空間に身を置いていると、心が静かに落ち着いてゆくのを感じる。いつまでも佇んでいたいような。
 聖堂に隣接する回廊も素晴らしい(写真)。中庭に陽光が満ちあふれ、薄暗い回廊とのコントラストが印象的。ちょっとこの世を離れたかのような、そんな異世界めいた錯覚すら覚える。なんとも抽象的。回廊とは単に移動のための空間ではなくて、修道士たちが思い思いに佇んだり、思索にふけったりするための空間として作られたというが、こうして実際に回廊に身を置いていると、その意図をひしひしと実感することができる。なんとも質素な贅沢。ここも、いつまでもいたい気持ちにさせられる。