パンがなけりゃケーキを……

studio_unicorn20070127

Marie Antoinette
 先週末は家に引きこもりだったので、今週末は天気もいいし、街へ繰り出す。妻と銀座へ行き、日劇で映画「マリー・アントワネット」"Marie Antoinette"を観る。昨年からけっこう期待していた映画だった(2006年11月26日の日記参照)だけに、やっぱり観るなら大スクリーンの日劇で……と、銀座へやってきたのだ。銀座へ来るのも、ずいぶん久しぶりだなあ。
 巷ではずいぶんと賛否両論のようだが、私はとても楽しく観た。ソフィア・コッポラSofia Coppolaが監督しているという時点で、所謂"歴史もの"ではないだろうとは分かっていたし、こういう解釈の仕方というか見せ方は大いに面白いなとさえ思った。先入観なしに観れば、これはこれでとても面白い映画だ。徹底してキルスティン・ダンスト演じるマリーの視点で、外界と遮断されたヴェルサイユVersaillesの中だけ(ほとんど)で描かれているのが良い。マリーはなーんも知らない無邪気な少女だったのよ、といいつつも別に下手な弁解やこじつけでムリヤリ善人に仕立て上げようとぜす、少女の行いを"ありのまま"に見せようとしていたのも好感だ。この映画は善悪の判断をするための映画ではない。まあ、実際のマリーはけっこう策略家だったのだそうだが。マリーの伝記本を読んでみたくなったぞ。
マリー・アントワネット オリジナル・サウンドトラック
 そして何より、映像の美しさ! 衣装や小道具、お菓子などが演出するカラフルな映像美ももちろんだが、やっぱり舞台になるヴェルサイユ宮殿、特に私が大好きな庭園の映像が素晴らしい。まさに一幅の絵、というようなシーンが随所にあって、それを観ているだけでも素晴らしい。う〜ん、またヴェルサイユ宮殿に行きたくなってきたぞ(私は2回行ったことがある)。
 バロックからロック、エレクトロニカと幅広い音楽もいい効果をあげている。サントラ盤は昨年のうちに購入して、ずいぶん聴き込んでいたので、「このシーンにこの曲かあ、ふむふむ」と思いながら観ていました。特に仮面パーティーのシーンで使われたSiouxsie & The Bansheesの"Hong Kong Garden"と、Bow Wow Wowの"I Want Candy (Kevin Shields Remix)"の使い方が秀逸。
 実に淡々と物語が進む演出の仕方は、時代こそ違えど前作「ロスト・イン・トランスレーション」を思い出させる。映像・音楽も含めて"ソフィア・コッポラ流"が強く打ち出された映画なのであった。満足。

 それにしても、あと3か月少々で、間違いなく同じこの劇場で公開されるのに、しかも「マリー〜」と同じキルステン・ダンストが出演しているのに、なんで「スパイダーマン3」の予告編が上映されないワケ〜!? 到底納得がいかないぞ!

(写真はフランス・ヴェルサイユ宮殿の庭園にて。2001年8月8日撮影。フィルムカメラで撮影した写真をスキャナーでデータ化してあります)