日出づる処に。

studio_unicorn20070324

太陽 [DVD]
 下高井戸シネマに妻と一緒に行き、映画「太陽」"The Sun"を観る。
 太平洋戦争終戦前後の、昭和天皇ヒロヒトを「人間的」な側面から描き出した映画。ロシア・イタリア・フランス・スイスの合作映画でロシア人が監督し、日本人と米国人が出演する映画。考えてみれば不思議なものである。日本人以外のほうが、てらいなくイデオロギーにも囚われずに、客観的な視線を保ち続けられたのだろう。一国の頂点に立つことの苦しみという点で、見かけこそ違え、先日観たマリー・アントワネット」を大いに思い起こさせるものがある。
 昭和天皇をこのように描いたことへの是非とかそういうのはよく分からないが、天皇の話し方やクセ、有名な「あ、そう」の使い分けなどをしっかり分析し、見事になりきって演じたイッセー尾形の演技は、素直にすごい。他にも侍従長佐野史郎や、最後に皇后役で登場する桃井かおりなど、演技達者が揃っていて、それだけでも見応えだ。
 そして、私としては、色調を抑えた映像が素晴らしかった。天皇が暮らす薄暗い地下避難所の様子、生物研究所の静謐な佇まいなど、ものすごく印象に残る。そして、ノイズのような物音をあえて耳につくように調整された音響効果。そういうところに、特に理由はないが「ロシア人らしいアヴァンギャルドな表現だなあ」(笑)と感じてみたりも。
 いろいろと気になることの多い、意外にも(?)心に染み入ってくる映画だった。もう一度観てみたいなあ。DVDが出たら買おうかな。と思ったら、ちょうど発売されたところだったのね。

(写真は道中にて)