画家と庭師とカンパーニュ

studio_unicorn20090219

画家と庭師とカンパーニュ [DVD]
 仕事のあと妻と下高井戸で待ち合わせ、下高井戸シネマにて映画「画家と庭師とカンパーニュ」"Dialogue avec mon Jardinier"を観る。平日の夜にはあまりイベントを入れない我々夫婦だが、どうしてもこの映画を見逃したくなかったので、予定を鑑みると今日の夜に行くしかなかったのだ。こうやって、たまに平日の夜にイベントが入るのは、楽しいし。
 見逃さなくて本当に良かった。"画家"と"庭師"の交流が心温まる、いい映画だったな〜。が、ハリウッド的"お涙頂戴"の人情ものになっていないのが、いかにもフランス映画らしい。そこがまた良い。
 派手なシーンは一切なし、音楽もラストまでほとんどなく、不必要なドラマチックさは一切排し、部分を会話シーンとちょっとした行動だけで"画家"と"庭師"の友情を盛り立ててゆく演出には脱帽だ。これは脚本と、"画家"演じる名優ダニエル・オートゥイユDaniel Auteuilと"庭師"役のジャン=ピエール・ダルッサンJean-Pieere Darroussinの、二人の演技力によるところが大きいのは言うまでもない。だが、その"演技力"たるや、いかに「演技してます」感を排して徹底的に自然な演技・会話を貫き通すかに費やされており、観客は演技する俳優ではなく、本物の画家と庭師を見ているような心地にさせられてしまう。これこそ彼らの演技力の高さを物語るわけなのだが。
 フランスの田舎の映像が素晴らしい。が、パリもいい。大都会を貶めて類型的な田舎礼賛に走らず、「都会対田舎」の図式にしないのもいい。単純な米国人とは違うんだよ、と言いたげなフランス人のプライド(?)が聞こえてきそうだ。快作。

(写真は、フランス・ヴェズレー近郊にて。2006年7月11日撮影)