鎮魂と静謐の旋律

studio_unicorn20061126

World Trade Center
 決して体調が良いわけではないが(むしろ不調気味。頭も痛いし)、週末なのに遊べないのがすっかりイヤになり、また2006年10月3日の日記でチェックした秋の映画をほとんど観ていないのに我慢できなくなって(笑)、思い立って妻と渋谷に行き、映画「ワールド・トレード・センター」"World Trade Center"を観てきた。
 この映画の「キモ」は、何といってもクレイグ・アームストロングCraig Armstrongの素晴らしい音楽だ。もうサントラはけっこう前に購入していて、すでに繰り返し何度も聴いていた(2006年9月20日の日記参照)。
 いや、決して音楽以外の要素がダメだったというわけではない。むしろ演技も演出も美術も、素晴らしいと言っていい。だが、「あの」オリヴァー・ストーン監督Oliver Stoneが、強烈なメッセージや政治性を一切封印して、無駄に感動を煽り立てずひたすら「事実」を再現することに注力した演出をし、ニコラス・ケイジNicolas Cageとマイケル・ペーニャMichael Peñaを初めとする出演者たちも、リアリティを重視した演技に徹していた。何しろ僅か5年前の悲劇だ。事実を再現することを最優先とした演出は、当然であろう。
 そんなわけで、映像的な要素が「事実の再現」に徹しているなか、「事実」にはなく、かつ我々観るものたちの感情を揺さぶってくるのが、Craig Armstrongの、鎮魂と静謐に満ちた音楽なのだ。この素晴らしい音楽があったからこそ、我々観客の心は大きく感動に震えるといっても言い過ぎではないかもしれない。それほどにCraig Armstrongの起用、そしてその音楽は素晴らしいということだ。いやあ、さすがの私でも、最後のほうはジーンときましたよ。

Marie Antoinette
 予告編では、何といっても「マリー・アントワネット」"Marie Antoinette"の予告編が観られたのが嬉しい。あのソフィア・コッポラ監督Sofia Coppolaが、どんな「弾けた」歴史ものを見せてくれるのか、すごく興味津々だ。ゴキゲンなサントラもすでに購入して、何度も聴いている。何しろ18世紀フランス宮廷歴史劇にニュー・オーダーですよ? いやがうえにも期待してしまうな。マカロンカラーの凝った衣装や、美しい映像を見ているだけで楽しそう。でも日本の配給会社の、妙にガーリーな宣伝の仕方は、ちょっと鼻につくな。そうやって、狭い範囲の人にだけ訴えるような売り方をするのは、いかがなものか。

  • マリー・アントワネット映画の日本語オフィシャルサイト……なのだが、あまりにもショボい。トレイラーすらないとは、どういうこと!? 売る気がないのか? それとも、これから内容を拡充していくのかな 追記……さすがにサイトを拡充させたようです)
  • Sony Pictures - Marie Antoinette(英語オフィシャルサイト。こっちのほうがちゃんとしています)

(写真は、恵比寿にて。2006年10月9日撮影)