慟哭の雨

studio_unicorn20070214

 私が編集者をしていたときに、仕事などで浅からぬ縁があった方の訃報に接し、お通夜に行ってきた。
 とても人生の幕を下ろすに相応しい(?)ような年齢には程遠かったし、私と10歳と年齢が離れていない方だっただけに、他人事とは言えないものを感じてしまう。所詮、人間は死と隣り合わせなのだ。覆い隠して見えないようにしたつもりでも、死は常に傍にある。
 そして、徐々に黒ネクタイを締める機会が多くなってきていることに気づく。そういう年齢になってきていることに。
 その方と面と向かって打ち合わせたり、一緒に食事したりした頃の記憶もしっかり残っている。なんともいえない哀しみ、やりきれなさ。ただ次の世の幸せを願うのみ。そして、彼女の生き様を(自分が関わっていた部分だけでも)心に刻み続けておこう。
 そんな早すぎる逝去を悼むかのように、今日は朝から雨が降っていた。
 時には、霧のように音もなく降りかかる、静かな天の涙を。
 時には、荒々しく泣き叫ぶように叩きつける、激しい汗と涙を。
 今日、確かに天は哭いていた。
 それは、地を這う人々の、やり場のない慟哭の涙と想いを、天が代わって引き受けてくれていたのかもしれない。
(画像は、私の未発表作品より、"lost in sorrow"の一部分)