ヴェネツィア最終日・帰国

studio_unicorn20070715

 7泊9日の旅程を終えて、ヴェネツィア旅行から帰ってきた。午後に成田空港に着陸し、夕方には我が家に帰り着く。
 毎度のことながら、ただでさえ飛行機に長時間乗っているだけでとても疲れるのに、必ず不快なことの一つや二つが起こるので、疲労度は非常に高い。しかも、帰国したら帰国したで時差ボケが待っているし。
 今日は(7月の第3日曜日)ヴェネツィアでは、レデントーレの祭りが行なわれている。ヴェネツィア本土の海岸通りザッテレZattereから対岸のジューデッカ島Isola della Giudeccaへ仮設の橋が渡され、人々は橋を渡ってレデントーレ教会Il Redentoreを参拝し、前夜には花火大会と当日にはゴンドラレースが行なわれる、大変華やかな祭りなのだそうだ。帰国をあと一日遅らせればこの祭りを体験できたのだが、日程をフィックスした時点では知らなかったのだから仕方ない。ちょっと残念だなあ。次の機会には(あれば)ぜひ日程を合わせるようにしよう。
 荷解きを済ませてホッとひと息つくと、なんだかカレーがすごく食べたい気分だったので、スーパーで中村屋のレトルトカリーを買ってきて、サラダと一緒に簡単な夕食を済ませる。レトルトでも、久々のカレーライス、美味しかったです。
 就寝のためにベッドに横たわると、時折通り過ぎる車やバイクの音が、やけに遠く響く。
 長い旅から還ってきた日の夜はいつも同じなのだが、この、なんとなくやるせないような、哀しいような、わななくような、胸がいっぱいになる想いはなんだろうか。旅の疲労のせいか、まだ旅の興奮が冷めやらぬのか。"旅"という非日常が終わり、日常へ戻っていってしまうことへの抵抗感なのか。旅の記憶が、やがて日常の蓄積の中へ埋もれていってしまうことへの哀しみなのか。いつか終焉を迎える人生への、底知れぬわななきか。泣きたくなるような想いを胸に抱えて、夜が更けてゆく。
Music for Compline
 と……これはいかん。全然眠れない。時差ボケだ。
 去年までの旅行の経験だと、帰国した当日は疲れもあってよく眠れて、次の日から時差ボケが出るのが常だった。だが今年は、歳のせいか、帰った当日から時差ボケに見舞われてしまったようだ。妻も同様。
 目が冴えて全然眠れないので、仕方なくいったん起きて、バッサーノ・デル・グラッパBassano del Grappaで購入した薬草入りのグラッパ"Ruta"(ルータ)をさっそく封を開け、サラミとチーズを肴に少々飲んでみる。グラッパ特有の香りに加え、薬草の爽やかな香りとほのかな甘味がRuta独特の味わいで、実に美味しい。妻はシェリーを飲む。
 お酒をちびちびやりながら"Music for Compline"など静かな音楽を聴き、まったりと1時間ほど過ごして、ようやく夜中の3時頃に眠ることができたのだった。
(写真はザッテレにて、7月13日撮影。橋が半分くらい架かっているのが見える)