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写真家・福原信三の初心―1883‐1948
 今日も青空が気持ちいい。気温も高すぎず低すぎず、実に過ごしやすい、気持ちのよい日だ。まさに「秋晴れ」という言葉がぴったりの一日だ。
 妻と自転車に乗って、砧公園へ。日和がいいだけに、公園内は家族連れなどでいっぱい。気持ちよさそうにピクニックなどしている様子。
 我々も残っていたバゲットで作ったサンドウィッチを持参していたので、大きな木の下に座って軽くランチタイム。青空の下で食べると、なんか美味しく感じるなあ。
 食後は公園内の世田谷美術館へ行き(こちらが主目的)、開催中の企画展「福原信三と美術と資生堂」展を観る。あまり興味がなかった展覧会だが、タダ券が手に入ったし、数日前に新聞での紹介を見て、ちょっと面白そうだと期待していたのだ。
 自ら写真家として活躍した福原信三氏の写真作品の展示。そして、資生堂の経営者としては、資生堂ギャラリーの長年にわたる運営から輩出された多くのアーティストたちの作品展示(戦前の作家や梅原龍三郎から、現代の作家まで。蔡國強の作品なんかもあった)。そして何より興味深かったのは、デザインの力にいち早く目をつけて社内に意匠部を設立した資生堂のデザインワークの展示だ。山名文夫氏ら日本デザイン史に大きな足跡を残した人々が手がけた、ポスターなどの宣伝デザインや販促グッズ、もちろんオイルデミンなどの製品そのもののプロダクトデザイン。
 このような、企業の文化的活動を包括的に企画・展示した展覧会、しかも単なる企業の自画自賛でなく美術館としてのリサーチに基づいた展覧会というのは、ちょっとあまり他に類を見ないような気がする。その意味でもたいへんに意義深い展示ではなかっただろうか。もちろん展示されている作品そのものも大いに楽しんで観ることができた。資生堂の文化的活動のレベルの高さゆえだろう。
 中世には王侯貴族が、そして近世には裕福な大商人なども、芸術や芸術家の「パトロン」の役割を果たしていたのだが、近現代にはそこにさらに「企業」という新たなパトロンが加わっている。欧米に比べてまだまだ(いろんな意味で)低いと言われる日本企業の文化活動だが、資生堂のようにきちんとした取り組みをしている企業もあるのだなあ、と実感した。なんでも世田谷美術館は、この企画のシリーズ化も考えているらしく、次の企業の選定を検討中らしい。期待したいものだ。

(写真は砧公園にて)