鎮魂の森

studio_unicorn20071111

 このところすっかり下高井戸シネマづいている。今日も、雨のやんでいる間隙をついて、妻と自転車で下高井戸へ行った。この10日ぐらいで3回目の下高井戸シネマである。
 今日観た映画は「殯の森」(もがりのもり)。今年のカンヌ映画祭コンペティション部門でグランプリを獲得して話題になった、河瀬直美監督の映画だ。ちょっと気になっていたのに、どの映画館で上映されたかも知らぬまま見逃してしまった。こういう映画が下高井戸シネマでかかってくれるのは、とてもありがたい。
 美しい映像。奈良の山奥の自然。整然とした茶畑。太古から息づくような深い森。何かを鎮めるかのようなピアノの旋律。その中で生者と死者はさ迷い、心をむき出しにし、怒り悲しみ、喜び救いを求める。「死」と向き合う人々を描いたこの映画は、ちょっと不思議な胸のつかえのようなものを観るものに残す。喪が明けること。魂呼ばい(たまよばい)。言葉にならない呼び声を聞こうとする。観終わったあとは、けっこう疲労感を感じてしまったが……。
 映画館を出ると、観ている間にまた雨が降っていたらしい。でもその雨もやんでいたので、再び自転車で帰宅することができた。ラッキー。

(写真は新幹線の車窓から茶畑を眺めるクマたち。2006年5月1日撮影)