わたしいまめまいしたわ

studio_unicorn20080302

 妻と都心へ。休日に皇居周辺へ出るのは、本当に久しぶり。天気もそこそこ良く、行き交う人も少なめでのんびりした雰囲気が漂い、とても気持ちがよい。
 東京国立近代美術館で開催中の企画展「わたしいまめまいしたわ 現代美術にみる自己と他者」を観る。
 この美術館に来るのは本当に久しぶりだ。もしかしたら大学生の頃以来、15年ぶりくらい来ていないかもしれない。大学生の頃はこの美術館も、さまざまなメジャーで大規模な企画展をよくやっていたので、カンディンスキーマグリットやルドンなどの展覧会に来たものだった。が、近年は方針が変わったのか、そうした企画展はあまり催されてこなかったように思う。というわけで久々の来訪だ。しかも、今日は嬉しい無料観覧日。まあ、もともとの観覧料も安いのだが、せっかく無料で見られるのだから利用しない手はない。
 「わたし」と「社会」、「自己」と「他者」の認識の変化や"ゆらぎ"のようなものを、国内の3つの国立美術館の収蔵品からテーマに沿って選んで展示するという企画である。なんだか久しぶりにこういう、企画意図というか「テーマ」のようなものを前面に押し出した展覧会を観たような気がする。「わたしいまめまいしたわ」なんていう人目を引きそうなタイトル付けや、記号を多用したピクトグラムの多用、さらに考え抜かれたあとが伺える展示方法など、関わった学芸員の力の入れようが伝わってくるような、観ていてなかなか楽しい展覧会だった。絵画、写真、彫刻、インスタレーション、ヴィデオなど多様な作品が並ぶ。
 近代の巨匠たちの自画像群の展示から始まり、いきなり"変身アーティスト"澤田知子さんの、大量の変装証明写真がずらずら〜ちまちま〜と並んでいて圧倒される。また若くして亡くなった写真家・牛腸茂雄さんの「SELF AND OTHERS」シリーズ全60点が一堂に展示されていたのも見応えがあった。ラスト近くの、高嶺格さんの人を食ったようなヴィデオ作品もへんちくりんで面白かったな。
 企画展をけっこう時間をかけて観たので残り時間があまりなくなってしまい、常設展は駆け足でざっと観る程度になってしまってちょっと残念。常設展も、3フロアに渡って充実した展示がなされており、こちらもまた機会があったらじっくり観たいものだ。最近、けっこう常設展が好きな私であった。

(写真は北の丸公園外のお堀端にて)