ティファニーで朝食を

studio_unicorn20090511

ティファニーで朝食を (新潮文庫)
 トルーマン・カポーティTruman Capoteの小説集「ティファニーで朝食を」"Beakfast at Tiffany's"(新潮文庫)を、本日読了。
 今回読んだのは、一昨年前に購入した旧版ではなく、村上春樹さんが新たに翻訳した新版のほう。
 2年前に映画「カポーティ」"Capote"を観て以来(2007年2月25日の日記参照)、カポーティの小説を読んでみたいとずっと思っていたのだが、なかなか手が回らず、このたびようやく一冊読んだことになる。
 かのオードリー・ヘップバーンが主演した映画は観たことがないのだが、村上春樹さんのあとがきによると、映画はこの原作とは相当異なっており、ほとんど別物といってもいいらしい。観ていない私は、却って先入観なくフラットな状態で小説に対面できたことになる。
 主人公ホリー・ゴライトリーの奔放な生き様が、同じアパートに住む「僕」(こちらは明らかに作者の投影)の目を通して語られるのだが、その奔放な生き様とは裏腹に、とても切ない感情だけが残る。作者の繊細な感受性をよく反映した、実に感傷的な小説であった。
(写真は京都にて、5月2日に撮影。確か同志社大学の建物の一つだったと思う)