アップル創業者スティーブ・ジョブズ氏Steve Jobsの訃報を知ったのは、今日の夕方近く。
非常に遅かった。
相変わらずテレビはほとんど観ないしここ一週間ほどネット活動からも身を遠ざけていたので、うっかりすると新聞以外の情報メディアに接する機会が丸一日なかったりする(笑)。
仕事帰りに渋谷のアップルストアへ寄ってみると、店の入口前の路上にたくさんの花束が。ハート形の齧り跡?がついた林檎もそなえられてあった。花束やお供え物はこれからもっと増えてゆくのだろうな。結局のところ、単なるビジネスを超えて、本当の意味で人々の考え方や生活・行動に大きな影響を与え、本当の意味で社会を動かしてきた人というのは、決して為政者などではなくジョブズ氏のような人なのだ、とその光景を見ながら強く思った。
ジョブズ氏のビジネス面での功績もさることながら、なんといっても私にとっては、特に近年のMac製品群に表れている氏のデザイン美学が一番大きいな。
極限までミニマルに、シンプルに突き詰められたMacBook ProやiMacやiPodなどのデザインは、氏が傾倒していたという禅の思想にも通じるのかもしれない。あるいは、私がとても心酔している原研哉氏の、素材感と余白を重視した引き算し尽くされたデザインとすごく共通するところを感じる。そしてそのシンプルの極致が実にかっこよく、かつ実に静謐な佇まいと存在感を有していることに、MacやiPodとともに暮らし、生きる喜びがあったと思う。そんな思いにさせるデザインのパソコンやメディアプレーヤーなんて、他にはほとんどお目にかからなかったよ。氏にとっては、早い段階からパソコンは「機械」ではなく「生活デバイス」として捉えられていたのだろう。Macの前では、他のメーカーのパソコンがどんなにメカメカしくてドン臭く、持ち使う喜びをまったく感じないことか。
巨きな星が墜ちたことに、深い哀悼の意を表して。
R. I. P....