ヒルズの夏

studio_unicorn20050828

 妻と私の両親と四人で、六本木ヒルズへ出かける。気温が低く湿度もほどほどで、とても涼しく過ごしやすい日でよかった。さすがに夏休み最後の日曜日とあって、家族連れなど大勢の人でにぎわっているようだ。が、レストランやカフェはともかく、ショップは閉店する店がけっこう出てきたそうだ。そりゃそうだよね。ショップはなんだかブランド系のセレクトショップや高級ファッションの店ばかりで、インテリアショップも一軒しかないし、雑貨屋の数も全然充実していない。ここに来る客層を考えたら、そんな店ばかりではお金を落としてはくれないでしょう。私自身も、ヒルズの建築やレストラン、カフェは好きだけれども、ショップには全然魅力を感じないし。
 私だったら、ヒルズにどんなショップを入れるか? 採算とかまるっきり度外視して妄想してみると、月並みだけれどまず無印良品フランフラン、イデーもカフェだけじゃなくてショップも入って欲しい。それからアップルストアステーショナリーなら伊東屋コクヨのアンテナショップpicnic on picnic。安売り系ならThree Minutes Happinessと、ナチュラルキッチンかbana bana。あとHMVは欲しい(最低でも渋谷店と同規模のを)。書店は、ツタヤはちょっと離れているので、できれば森ビル内に丸善オアゾジュンク堂みたいなでかいのを一軒(今ある有隣堂は小さくて使えないので不要)、それと外苑前の「シェルフ」とか代官山の「ハックネット」みたいな、小さいが写真集or洋書専門店が一軒。あと小さいギャラリーが5軒くらい。う〜む、こんなヒルズだったら毎日通いたいくらいだ(笑)。
 妄想はこれくらいにして(笑)、我々はさっさと森美術館に向かい、タダ券で「中国・美の十字路展」と「Follow Me! 新しい世紀の中国現代美術」を観る。私だけは開催前日の内覧会で一度観ていた(2005年7月1日の日記参照)が、あの時は時間があまりなくて、ずいぶん駆け足で観てまわったものだから、今回はゆっくりと時間をかけて観ることができた。いやあしかし「中国・美の十字路展」は本当にいい展覧会だ。唐以前の中国古代美術の、しかも質の高いものばかりこれだけまとめて見ることができる機会は、そうそうないに違いない。じっくり堪能した。
 それにしても次回の、9月17日から始まる「杉本博司〜時間の終わり」展がものすごく楽しみだ。氏の写真を使ったコンセプチュアル・アートが大好きなので、超期待。展示デザインも杉本氏自ら手がけているそうで、さらに期待大。どんなミニマルでモノトーンな会場デザインになるのか、今からワクワクする。
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 美術館を出て、ちょっとお茶して休んだあと、今度は森アーツセンターギャラリーで開かれている「フィリップス・コレクション」展を(こちらもタダ券があったので)観る。こちらはがらりと趣きが変わって、ヨーロッパ近代絵画のコレクション。誰でも知っている有名な画家たちの作品が1点〜数点ずつ展示されている。有名どころの作品をカタログ的に俯瞰できるというわけだ。でも森美術館でじっくり観たせいで疲れていたし、あまり時間もないので、ひと通りささっという感じで観た。最近は印象派の絵とかあまりじかに触れる機会がなかったので、これはこれでいい経験だが。ただひとつ、今回の目玉作品であるルノアールの「舟遊びの昼食」だけはじっくりと観た。晴れた休日の、優雅な舟遊びの様子がよく伝わってきて、私が好きな作品である。が、それだけではなく、映画「アメリ」に登場する(正確にはこのレプリカが、であるが)絵なので、一度本物を観たいとも思っていたのだった。この絵は見ることができて、本当によかった。
 屋外の毛利庭園には、村上隆氏の新作彫刻「とんがり君と四天王」が展示されていた。これは面白い。仏像のお約束がきちんと踏襲された上で、ポップな現代のキャラクター・アートのフィルターを通して生み出された、という感じだ。いかにも村上氏らしい、ある意味"確信犯"的な作品だなあと思った。四天王が「ぞうちょう君(from増長天)」「こうもっ君(from広目天)」「じごっ君(from持国天)」「たもん君(from多聞天)」とネーミングされているのも面白い。