いつでもそばに

studio_unicorn20060417

 宮部みゆきさんの「ドリームバスター3」を、本日読了した。宮部さんの本は何冊か読んだのだが、このシリーズは私のお気に入りである。よく話題になる社会派ミステリものとかよりも、こういうファンタジーものや超自然的な設定の作品のほうが、宮部さんの本領が発揮されているような気がする。
 にしても、ものすごく気を持たせたまま思いっきり次へ「つづく」な展開じゃんかよ〜! 前巻が出てからこの本が出るまでに3年たっているということは、このまま3年待たされるということか……。やれやれ。作る側の苦労はイヤというほど分かってはいるが、やっぱりもどかしいものだ。
 まあ、作品そのものについては、いずれホームページのほうにレビューを載せるつもりだが(いつだ?)、ちょっと別の話を。この「ドリームバスター3」には、「大極宮通信」Vol.014が挟み込まれている。これは、大沢在昌宮部みゆき京極夏彦の3人の小説家が所属する「大沢オフィス」が定期的に出している小冊子で、3人の新刊のどれかを買うとよく挟み込まれている。私は宮部さんと京極さんの本をよく買うので、これまでも「大極宮通信」はしばしば目にしてきた。
ドリームバスター〈3〉
 その、今回の「大極宮通信」に、「スペシャルエッセイ」として宮部さんが「ずっとずっと友達」という短文を載せている。著作権の問題があるので転載は避けるが、内容を要約すると、「最近ケータイに押されてすっかり影が薄くなったように思えた、読書をする方の姿が、また最近電車やバスの中で増えてきて嬉しい。本は一生のトモダチだと、心から実感する。毎日の暮らしの中に、本はいつでもそばにいるのだから」というような主旨だ。
 これには、私もまさにハタと手を打つ思いだった。心の底から賛同する。私も、ここ最近、電車の中で本を読む人の数が多くなってきているような気がしていたのだ。"活字離れ"なんかじゃない、ちゃんと読みたい本、必要な本、面白い本があれば、(私のような活字中毒じゃなくたって)人々は読むのだ。
 さらに加えるなら、印刷した紙を綴じた"本"という形式そのものの持つマテリアル感も、すごく重要だと思っている。装丁は言うに及ばず、その物体としての存在が、単にテクストを読み取る以上の"何か"をもたらしているような気がするのだ。電子書籍なんかでは"本"の代わりになどなることができないと、私が強く思う理由もここにある。

  • 大極宮(大沢オフィスのオフィシャルサイト)

(写真は、2005年5月に訪れた、京都・高山寺にて。あと2週間足らずで、毎年GW恒例の京都旅行です)