京都2日目・恵文社一乗寺店とガケ書房

おもてなしの本
 一乗寺のカフェ「つばめ」(後述)で昼食のあと、当然のようにすぐそばにある書店・恵文社一乗寺店へ行く。ここのところ、京都に来るたびにこの書店に来ているなあ(2005年5月3日の日記参照)。
 相変わらず個性的な品揃えが楽しい。売り場の作り方が違うと、今まで気づかなかった面白い本を見つけたり、あまり興味を引かなかった本が面白そうに見えてくるから、売り場作り・棚作りは大事だ。
 でも、ちょっと待って。この店ぐらいに個性的になると、そういうお店の独自性って分かりやすいけれど、駅前や街中にある"その辺の"書店を「金太郎飴みたいで個性がない」とか思っていませんか? それは必ずしも正しくないです。確かに売れている本や雑誌が前面に出がちなのはあるけれども(本屋さんだって稼がなければね)、その店の立地や地域性、客層やお店の人の個性や好みによって、お店それぞれの売り場作りや棚作りを工夫しているのです。そういう目を持って、改めて本屋さんを覗いてみると、今まで見えなかった発見があると思いますよ。
 話が逸れたが、店の奥のギャラリーでは、Anano(正確にはAnanö)として活動していらっしゃる穴原里映さんの個展"Porte Bonheur"が開催中だった。グッズやアクセサリーの制作からそれらの写真撮影、装丁デザインまでをこなし、ナチュラル系のほんわかなテイストと中世風のゴシック的要素が混ざり合った、独自の雰囲気を持つ穴原さんは、やはりファンが多いようで、わざわざ訪れたらしい多くのお客さんが熱心に見ていた。私も穴原さんの作り出す世界はけっこう好きだ。が、さすがに一点もののオリジナルグッズは値段が非常に高く、見て楽しむだけにとどめた。

diatxt. (09) 京都のパン屋さん 京の色事典330 (コロナ・ブックス)
 珍しいことに、恵文社一乗寺店では、今日は並べられている本とうまく波長(?)が合わず、何も買わずに出てきてしまったが、次に訪れたガケ書房では、調子に乗って(笑)3冊も購入してしまった。
 白川通沿いにある、こちらも個性的な本屋さん。店の壁に車が突っ込んでいる(あるいは飛び出している)外観は超有名。車のボディには派手なペイントが施されてあり、中にも何やら怪しげなオブジェが。この車のペイントやディスプレイは定期的に変更されるそうだ。
 店内も個性的。恵文社一乗寺店がちょっとメルヘンチックな、古い洋館のような雰囲気をたたえているとすれば、ガケ書房は遊び心と茶目っ気満載の楽しい雰囲気。実は、もう少しごちゃごちゃした感じなのかと思っていたのだが、予想以上にシックな、黒を基調とした落ち着いた店内だった。それでも、手書きPOP募集ポストだとか、棚の脇にべたべた貼られた手書き新聞とか、「弾いてください……」という札とともに置かれたギターだとか、本当に面白い。こちらもすごく気に入った。
 購入したのは、妻が非常に気に入った(私も興味津々)「京都のパン屋さん」、"京都イメージをめぐって"という特集に惹かれた、京都芸術センター発行の「diatxt.(ダイアテキスト) No.9」、日本の伝統色について一冊欲しいなあと思っていたところへ出くわした「京の色事典」の3冊。どれも、まあ東京でも注文すれば手に入らないことはないだろうが(ただし版元品切れの場合もあるだろうから油断できない。本は一期一会です)、やはり京都の書店さんでなければ平積みになっていないような本ばかり。まあ、私にとってはお土産の一種です。