Halloweenのこと

studio_unicorn20061031

Halloween 2006
 GoogleのロゴがハロウィーンHalloween仕様になっているのを見て、今日が諸聖人の日(11月1日)の前夜・ハロウィーン(または「ハロウィン」)Halloweenだと思い出した。
 もとはケルト人の豊穣の祭にまで遡ることのできるこの祭は、いにしえから今に至る文化の重層的な構造を窺い知ることのできる、ひとつの興味深い例だと思ってきた。
 新しきものは古きものを完全に否定して滅ぼし去るのではなくて、地層が積み重なるように古きものの上に覆いかぶさり、古きものを内に取り込み内包しつつ人々の中で定着してゆく。中世において、キリスト教がヨーロッパに広まっていったときも、ケルト人やゲルマン人たちの古き仕来りや神々を内に取り込み、ある意味"吸収消化"しつつ広まっていたのだった。さもなくば、キリスト教が人々に受け入れられるのには、より多くの困難が伴ったに違いない。人々の生活・信仰・習慣やものの考え方・見方は、そうそう急激に変えられるものではないからである。
 だから、今我々が見ることのできる、キリスト教に関わるさまざまな儀式・祭・暦や仕来りのほとんど全ての下には、古代の神々や仕来り、古代人の息遣いが透けて見えてくるのだ。Halloweenもそのひとつの例なのである。
 しかし、Wikipediaを見ると、さらに知らなかったことがいろいろ書かれていて、とても興味深い。私はてっきり"Halloween"という言葉と現在の祝い方そのものは、米国で形成されて米国で発展したものだと思い込んでいたのだが、どうも形成・発展は英国とアイルランドだったらしい。むしろ、英国(特に南部)では11月5日のガイ・フォークスの日"Guy Fawkes Night"に置き換わったせいで廃れてしまったのだそうだ。へえ〜へえ〜、初めて知ったよ。
 というのも、私が英国のカンタベリーCanterburyに留学していた1989-1990年頃は、Guy Fawkes Nightの巨大な篝火はあちこちの村々で焚かれて、盛大な祭として祝われていたが、Halloweenについては、ほとんど何のイヴェントも行なわれた記憶がなかったからだ。ピーナツPeanutsのまんがを小さい頃から読んでいたので当然Halloweenについては知っていたが、この英国での冷淡ぶり(?)を見て、「Halloweenは米国で発展した祭に違いない」と思い込んでしまったのも無理からぬこと(?)だろう。
 ひるがえって日本での定着ぶりはどうだろう。上に書いたような文化的なバックボーンなどどうでもよくて、そのおどろおどろしくてMagicalな側面ばかり強調された、商業主義的な「ただの祭」だけ、バカ騒ぎができるひとつの機会、ぐらいの捉え方ばかりなのかな。私には、ルーツを辿るまでもなく、Halloweenって何かこう、農村的というか、土着的な香りがする"仕来り"、というイメージが常にあるのですが。
(写真は、妖魔の森の道……ではなくて英国・コッツウォルズのチッピング・カムデン近郊にて。2005年7月10日撮影)