知るも知らぬも逢坂の関

studio_unicorn20061220

任天堂 百人一首 舞扇
 最近、妻が百人一首カルタを欲しがっている。
 百人一首か。懐かしいな。小学生の頃、祖母から一日10枚ずつ教わって憶え、百人一首のカルタはけっこう得意だったのだ。まああんな競技カルタのようなまねはできないが、それでも、六年生のときの学年のカルタ大会では、確かすごく上位に入った記憶がある。
 私の実家には、すごく古い骨董品もの(大げさか)のカルタがあるのだが、我が家にはまだない。私自身、ひとつ欲しい気もしていたので、いいのがあったら買おうということになった。
 カルタといえば、何といっても神保町の奥野かるた店だ。百人一首やいろはかるたを始め、種々様々なカルタやゲームなどを売っており、お店独自のオリジナルカルタも考案・販売している、大正10年創業の老舗だ。昼休みに下見に行ってみた。
百人一首 敷島(CD2枚組付)
 店内の百人一首コーナーには、値段も種類もピンからキリまで、いろんな種類の商品が並んでいる。ところが、絵柄はみんな似たり寄ったりに見え、パッと見にはパッケージの違いしか分からない。この値段の違いはどこから来るのだろうか?
 途方に暮れていると、お店のおばあさんが寄ってきて、いろいろ説明してくれた。カードのつくりや、裏地が単なる印刷か和紙を貼ったものか(さらには銀箔や金箔を散らしたものか)、取りやすいように細工がカードに仕込まれているかどうか、などが値段の違いなのだそうだ。同じように見える絵柄も、メーカーによって微妙に違うそうで、任天堂の製品と京都の田村将軍堂の製品では絵柄が違うらしい。
 なるほど、そうやって見てみると、確かに商品によって裏地の違いがある。どうせ買うなら、裏地はちゃんと和紙を貼って箔を散らしたものがいい。絵柄も、私としては任天堂のものよりも、田村将軍堂の絵柄のほうが好みだ。本当は「光琳かるた」のような、筆の草書文字と伝統的な日本画が描かれたものがいいのだが、それでは文字が読めなくてカルタ遊びの用をなさない。鑑賞には書籍でも買うことにして、田村将軍堂のよさげなやつを買うことにしようかな。そう思いながら、店を後にしたのだった。

(写真は京都・大原の寂光院にて。2003年5月2日撮影)