film/DVD

観ると元気になる映画。

先日、久しぶりに手持ちのDVDで映画「プラダを着た悪魔」"The Devil Wears Prada"を観た。 プラダを着た悪魔 (特別編) [DVD] メリル・ストリープ Amazon 以前の日記にも書いたが、ただでさえ画面に目を凝らすと目がゴリゴリに疲れてばっかりだったのに、…

引き返せない一線

人が生きてゆくということは、実にたくさんの「引き返せない一線」を越えてゆくことなのだなあ、と最近とみに実感している。 私の右目の網膜剥離の緊急手術から2か月半が経過した(2024年2月13日の日記参照)。幸いにして術後の経過は順調だが、右目の視界…

「自然」と「文明」とのせめぎ合い

妙にしつこくて申し訳ないが、映画『イニシェリン島の精霊』"The Banshees of Inisherin"について、あと少しだけ書いておこうと思う。 なお、この作品に関して、先行して9月5日の日記と9月6日の日記を書きました。ここからご覧になった方は、上記2つの…

「寓話を物語る」ということ

昨日の日記に続き、マーティン・マクドナー氏の脚本・監督による映画『イニシェリン島の精霊』"The Banshees of Inisherin"について書く。本日の文章は結末などのネタバレに触れておりますので、映画を未見の方はご注意ください。 イニシェリン島の精霊 ブル…

最果ての島の物語

2か月以上前のことだが、我が家からほど近いお馴染みの下高井戸シネマにて、映画『イニシェリン島の精霊』"The Banshees of Inisherin"を観た。脚本・監督はマーティン・マクドナー氏Martin McDonagh。 イニシェリン島の精霊 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray…

「生きている人間」の物語

テレビドラマ「silent」(サイレント)の話、しつこく続きます(笑)。 このドラマの人気がなんだかものすごく社会現象化してきて、世田谷代田や下北沢といった「自分ちの庭」がすっかり賑やかになったので、これはもっと書いておかないと、という気持ちにな…

そして13人がいなくなった

さてさて。今年のNHK大河ドラマ、三谷幸喜さん脚本の「鎌倉殿の13人」はどうしたかというと、結局ものすごく遅まきながら観始めています。 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全版 第壱集 ブルーレイ BOX [Blu-ray] 小栗旬 Amazon あれだけ昨年の「青天を衝け」…

二つの「世田谷代田」、あるいは二重写しの風景

昨日の日記の続きを。というか、昨日書きそびれたことを書いておかねば。 現在放送中のテレビドラマ「silent」(サイレント)と、我が地元の馴染みの場所にして「自分ちの庭」こと小田急線・世田谷代田駅周辺のことだ。 それはそうと、偶然にも昨日の朝日新…

その後の「自分ちの庭」

(小田急線・世田谷代田駅前。2022年11月30日撮影) 「自分ちの庭」こと、小田急線の下北沢〜世田谷代田界隈。私たちの身近な生活圏。その世田谷代田周辺がメインのロケ地で出てると知って、観始めたテレビドラマ「silent」(サイレント)。 その後も観てい…

ヨボヨボになっても

いやあ、本当にやるとは正直思っていなかったので、びっくりしました。 何って、もちろんインディ・ジョーンズIndiana Jonesですよ。 しかもハリソン・フォードHarrison Ford主演で。インディは彼以外にないのだから当然なのだが、何しろハリソン御大は当年…

世田谷代田も「自分ちの庭」ですが、何か?

(小田急線・世田谷代田駅前から富士山を望む。2022年11月10日撮影) ふとしたきっかけから、現在フジテレビ系列で木曜日夜10時から放送中の連続テレビドラマ「silent」(サイレント)の、11月5日放送の第5話を観た。 第5話を観たのは、このドラマの存在…

単なる懐古ではなく。

ケネス・ブラナーSir Kenneth Branagh脚本・監督の映画『ベルファスト』"Belfast"を、例によって我が家からほど近い映画館・下高井戸シネマにて観た。 最も過酷な情勢下にあった1969年の北アイルランド・ベルファストを舞台に、9歳の少年バディとその家族や…

「倍速視聴」はしないけれども

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)をこの日、読了。 サブタイトルは「ファスト映画・ネタバレ--コンテンツ消費の現在形」。非常に話題になっている一冊だ。私も新聞の新刊広告でこの本の存在を知って以来とても他人事とは思えず、すご…

ハマスホイとドライヤー、都市の孤独

下高井戸シネマにて、映画『ゲアトルーズ』"Gertrud"を観た。デンマークの映画監督カール・テオドア・ドライヤーCarl Theodor Dreyerによる、1964年公開作品。全編モノクロである。私は寡聞にして全く知らなかったのだが、「カール・テオドア・ドライヤーセ…

限りなく懐かしい、「イタリア的」なもの。

我が家からほど近い映画館「下高井戸シネマ」にて、イタリアの名匠パオロ・ソレンティーノ監督Paolo Sorrentinoの最新作『Hand of God -神の手が触れた日-』(英題:The Hand of God、イタリア語原題:È stata la mano di Dio)を観た。 米国アカデミー外…

「縁の下の力持ち」とジャンル映画について

2022年4月3日の日記に続き、第94回米国アカデミー賞の受賞結果について、雑感を記す。 今回のアカデミー賞での最多受賞作品は、6部門を受賞した『DUNE/デューン 砂の惑星』だった。2022年4月3日の日記にも書いたように私個人としては、『ドライブ・マ…

映画の大衆性と芸術性

周知の通り、日本時間で2022年3月28日に開かれた第94回米国アカデミー賞の授賞式において、濱口竜介さんが監督した日本制作映画『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞(以前の外国語映画賞)を受賞した。2022年3月17日の日記に書いた通り、この映画を…

栄一巡りは続く

渋沢栄一の生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を衝け」が昨年末に最終回を迎えてから、丸3か月が経った。私たちが最終回の録画を観たのは年が改まってからの1月5日だったが、それから数えても早3か月近い。 ではあるが、2022年1月5日の日記に書いた通り…

物語ることの豊かさ

濱口竜介監督、西島秀俊主演の話題の映画『ドライブ・マイ・カー』を、我が家から比較的近い、街の映画館「下高井戸シネマ」にて観た。 dmc.bitters.co.jp 下高井戸シネマの上演作品のラインナップは週替わりが基本で、話題の作品でもせいぜい2週間程度しか…

【映画記録】挨拶ことばは「クー!」

下高井戸シネマにて、映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』デジタルリマスター版(露語題"Кин-дза-дза!"、英題" Kin-dza-dza!")を観た。 www.pan-dora.co.jp 映画の最初の公開は1986年、今から38年前だ(日本での初公開は1989年)。伝説のカルト映画(この言葉も…

飛鳥山にて「栄一詣で」

NHK大河ドラマ「青天を衝け」が最終回を迎え、ドラマが終わった今頃になって「渋沢栄一巡り」をしたくなり居ても立ってもいられなくなった(2022年1月5日の日記参照)私。 さっそく渋沢栄一ゆかりの地のひとつ、東京都北区の区立飛鳥山公園を訪れた。こ…

みんながうれしいのが一番

大丈夫だい。私が言いたいことはちっとも難しいことではありません。手を取り合いましょう。困っている人がいれば助け合いましょう。人は人を思いやる心を、誰かが苦しめば胸が痛み、誰かが救われれば温かくなる心を当たり前に持っている。助け合うんだ。仲…

人生の「ヒマつぶし」

数日前に、下高井戸シネマにてジム・ジャームッシュ監督Jim Jarmuschの2003年の作品『コーヒー&シガレッツ』"Coffee and Cigarettes"を観た。 下高井戸シネマで映画を観るのはほぼ9か月ぶりだ。これまでも自宅から自転車で15分という近さがたいへん便利だ…

青天を衝き、雲を翔びこせ

このテレビドラマについて書こう書こう、と思うだけで一向に手が動かないうちに、どうやら放送が半分を過ぎてしまったようなので、慌てて少し書いておこうと思う。 現在放送中の、NHK大河ドラマ「青天を衝け」である。 大河ドラマ 青天を衝け 完全版 第壱…

【映画記録】街の映画館で雨天の紐育

半ば彼岸の淵を覗き込むような日々が続く。緊張を強いられて疲弊する一方で、鬱々とした思念ばかりが澱のように降り積もるこの十日ほど。ストレスが体調にも影響してイマイチな状態が続き、余計に鬱陶しい。 いつ事態が急変するか知れないので翌日以降の予定…

【映画記録】「宝石」という名を持つ人

これは、現代の私たちが本当に観なければならない映画のひとつではないか。 とはいいながら、観た翌日に泊まりがけで法事に出席し疲れ果てて帰宅した上に、尚且つ別途に重大な懸念を抱える身としては、この映画についてじっくり書いている時間がないかもしれ…

【映画記録】名探偵と本格推理

レンタルしたDVDで、映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』"Knives Out"(2019年)を観る。 名探偵が登場する本格推理ものなので、ちょっと期待して観たのだが。 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 [DVD] 発売日: 2020/07/22 メディア: DV…

重力は時間を超える

109シネマズ二子玉川にて、クリストファー・ノーラン監督Christopher Nolanの名作『インターステラー』"Interstellar"(2014年)を、IMAXレーザーでの特別上映にて鑑賞してきた。同監督の最新作『テネット』"Tenet"に関連した企画だったらしい。 我が…

さらに、夏の終わり。

まさに今、この国は、いろいろな意味での「夏の終わり」に差し掛かっているようだ。 そのことを改めて認識する、この頃である。 2020年9月7日の日記に書いた経緯で、予定から一週延期で本日放映された大河ドラマ「麒麟がくる」第23話を観たときのこと。 ド…

【映画記録】名曲なくして名画なし

ずっと気になっていたドキュメンタリー映画『すばらしき映画音楽たち』"Score: A Film Music Documentary"(2016年)を、レンタルのDVDでようやく観ることができた。 score-filmmusic.com 小さい頃から映画音楽が大好きだった私。それも主題歌とかではな…