book/magazine

静謐なるものの名前よ、そなたの名は。

曇り空のイマイチな天気だったが、上野の東京都美術館に行き、企画展「ハマスホイとデンマーク絵画」の二度目の鑑賞。前回の鑑賞(2020年1月30日の日記参照)の際に会場構成と注目すべき作品は既に把握済みで、かつ購入した図録も完読したので展覧会への理…

あの映画を論じるということ

(写真は2019年12月12日に、渋谷にて撮影) 新三部作の完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』"Star Wars: The Rise of Skywalker"の公開を間近に控えて、書店では「スター・ウォーズ」の関連本や雑誌の特集を見かけることが多くなった。その…

失われた日々

大崎善生著『ロストデイズ』を読了。『指輪物語』を読んだ直後なので、こういう「現代的」な文章の小説がするすると読めてしまう(笑)。 ロストデイズ 作者: 大崎善生 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2015/02/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを…

旅の仲間。滅びの風。

J・R・R・トールキン著『指輪物語』"The Lord of the Rings"の第1部『旅の仲間』"The Fellowship of the Ring"を読了。 指輪物語 第1部 旅の仲間 作者: J・R・R・トールキン,瀬田貞二,田中明子 出版社/メーカー: 評論社 発売日: 1992/03 メディア: 単行…

指輪の旅へ 大いなる旅へ

実に久しぶりに、J・R・R・トールキン著『指輪物語』の再読を始めた。 「うんと長い休暇」に、大いなる旅の物語、その分厚い書物を繙く。 心ある方には、もちろんこの印が意味するところをご存じでしょう(^_^)。Of course, you know what this sign means…

『方丈記』の精神

鴨長明作・蜂飼耳現代語訳による、光文社古典新訳文庫版の『方丈記』を、本日読了。1日で読了してしまったが、まあ『方丈記』の本文は短いからね。ページあたりの行数がかなり少なめのゆったりした行組で、訳文が30ページに原文が20ページ。詩人・蜂飼耳氏…

話すということ、書くということ

岩波書店の「ヨーロッパの中世」シリーズ(全8巻)の第6巻、大黒俊二著『声と文字』を、本日読了。2009年から徐々に読み進めてきたこのシリーズも、ついに6冊読んだことになる。どの本も何度も再読したいほど興味深く、刺激的で面白い内容であるのは喜ば…

霧の城

宮部みゆき著「ICO −霧の城−」文庫版下巻を、病床にて読了。年末から年越しで読んでいた。以前からずーっと気になっていた小説だったが、文庫化でようやく手にして読む機会を得た。 同名のゲームを原作とした(いかにもゲーム好きの宮部さんらしい)上下巻の…

文房具ハック

高畑正幸作「究極の文房具ハック」を、本日読了。いろいろとアイディアに満ちてて、面白かった〜。 とかく文芸・人文志向で実用書のたぐいはほとんど読んだことがない私だが、書店でこの本をたまたま手にして開いたページが、紙にルーズリーフに穴をあける器…

中世ヨーロッパの特質

岩波書店の「ヨーロッパの中世」シリーズ(全8巻)の第1巻、佐藤彰一著「中世世界とは何か」を、本日読了。 大学時代は中世ヨーロッパの美術史を専攻していたし、その頃から今でも中世ヨーロッパが大好きな私としては、このシリーズのユニークな切り口や視…

富士の高嶺に雪は降りつつ

私が今、一番注目しているまんが・末次由紀さんの「ちはやふる」最新第6巻が、昨日発売。さっそく購入し、今日までに数回読み返した。前巻が6月発売だった(6月13日の日記参照)ので、いい感じに3か月刊行ペースが守られていて、ファンとしては嬉しい限…

きょうも変わらず猫村さん

本日発売の、ほしよりこ著「きょうの猫村さん」最新第4巻を、書店にて購入。前巻の発売から1年5か月ぶりだ(2008年3月21日の日記参照)。 4巻目なので、そろそろマンネリなのかな〜と思いつつ読むと、やっぱり面白い。「猫の家政婦」というシュールな"…

本当に最後のユニコーン

ピーター・S・ビーグル氏Peter S. Beagleの不朽の名作「最後のユニコーン」"The Last Unicorn"が、再発売された。 気鋭の翻訳家・金原瑞人さんによる完全新訳で、しかも続編というか後日譚の短編「ふたつの心臓」を加えた決定版ということで、「完全版 最後…

別の人生

恩田陸さんの旅行記「メガロマニア―あるいは「覆された宝石」への旅」を、本日読了。自分の旅の直前に旅行記や旅ものの本を読むと、旅への想いや気分が盛り上がってきて、いい感じだ。 恩田さんの小説は大好きで何冊も読んできたが、非小説系の本を読むのは…

The Lake District

書店にて「フィガロジャポン」FIGARO Japon最新号(2009年7月20日号)を購入。 特集は「イギリス湖水地方の旅。」。おなじみ旅の特集号、昨年秋の、英国の旅から帰国直後に発売というまことに間の悪いロンドン特集号(2008年10月5日号)に続いての、英国特…

今日もスープ

書店で、大久保ゆう子さんの「本日のスープ 2」が並んでいるのを見つけ、即購入。 最初の本が出てから半年少々しかたっていないのに(2008年12月25日の日記参照)、もう2冊目が出るとは、一冊目がよく売れたのでしょう。そうでなければ、このご時勢、なかな…

人々へのまなざし

堀江敏幸さんの「未見坂」を、本日読了。 名作「雪沼とその周辺」(私のレビューあり)に続く連作短編集で、中には地名などの手がかりが一切ない作もあるが、恐らく前作同様に地方都市「雪沼」とその周辺を舞台にしているのだろう。ひとつひとつの短編は独立…

緑のデザイン

本日発売の雑誌「Pen」7月15日号を書店にて購入。 特集は「緑のデザイン」。植物を使ったアート・都市デザイン・建築などと、世界40都市のグリーン度ランキングなどを紹介するという、とても面白い一冊だ。 表紙からして鮮やかな緑色の植物アートが実に美し…

私もあなたも猫ストーカー

小さい頃からのネコ好きである。 なのだが、どうにもヒネくれたネコ好きであるようで、かの「まこという名の不思議顔の猫」の本は一冊も持っていないクセに、その「まこ」が表紙を飾ったブルータスBRUTUSの猫特集号を買ってみたり(3月3日の日記参照)、「…

ネバーランドを追いかけて

恩田陸さんの小説「ネバーランド」を、本日読了。大好きな恩田さんの小説、もちろんこれも非常に面白かった〜。 2000年発表。恩田さんのキャリアとしては、比較的初期?の作品といってもいいのか。それでも、4人の高校生が冬休みに寮生活を過ごすという、筋…

阿修羅のジュエリー

鶴岡真弓さんの好著「阿修羅のジュエリー」を、本日読了。 かの「阿修羅展」(4月12日の日記参照)を契機として、世の中の阿修羅ブーム・仏像ブームにあやかるように、阿修羅や仏像を扱った雑誌や書籍がこれでもかと書店店頭に並んでいるが、この本も阿修羅…

大地の柱

本日、ケン・フォレット氏の名作「大聖堂」全3巻"The Pillars of the Earth" by Ken Follettを、ようやく読了した。 上中下合わせて1,600ページの超大作。ノルマンディー侵攻後の中世英国の架空の町キングスブリッジを舞台に、大聖堂建設に情熱を燃やす職人…

夢のかよひ路人めよくらむ

私が今年の一番面白いまんがだと思っている、末次由紀さんの競技かるたまんが「ちはやふる」。 先日の「マンガ大賞2009」にも見事選ばれ(3月27日の日記参照)、ノリにノっているこの作品。その最新第5巻が昨日発売されたので、速攻で購入した。4巻が出た…

乞食軍団の復活

復刊ドットコムからのメルマガで知ったのだが、昨年の6月に亡くなった"宇宙軍大元帥"こと野田昌宏氏(2008年6月8日の日記参照)の代表作「銀河乞食軍団」シリーズが復刊されるらしい。これは朗報! もとはハヤカワ文庫で正編17巻まで刊行された(他に外伝…

ヤーンの導くままに

今日は、このことについて書かないわけにはいかない。 栗本薫さんが死去 - ITmedia News J-CASTニュース : 作家・栗本薫さん死去 「グイン」引き継ぎは未定 訃報:栗本薫さん56歳=作家 世界最長の「グイン・サーガ」は未完に(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎…

パリのパン屋さん

書店にて、昨日発売の、新潮社の雑誌「旅」2009年7月号を購入。 特集は「パリのパン屋さんに行こう」。 日本に住んでいる日本人で、わざわざパリに行ってパン屋さんばかり巡る人が何人いるだろうか。 考えてみると、ある意味なんともマニアックな特集である…

"苦行"のあとのごほうび

年に一度の、人間ドック受診の日。 検査のため朝から飲まず食わずで病院へ行き、さまざまな検査を経て昼前に終了。ほとんど"苦行"を行なう宗教者のような心地だ。やれやれ。 もちろん、検査と昼食のあとで、仕事に行く前に書店で「自分へのごほうび」を買う…

かつて大好きだった

かつて私が大好きだった、異世界を舞台にした大河小説があった。 初めて読んだのは14歳のとき。「全100巻」のふれこみで始まった物語は、既に5巻まで刊行されていた。ヒロイックファンタジィの手法を大きく取り入れた物語と世界観、その後の巨大な物語の流…

ティファニーで朝食を

トルーマン・カポーティTruman Capoteの小説集「ティファニーで朝食を」"Beakfast at Tiffany's"(新潮文庫)を、本日読了。 今回読んだのは、一昨年前に購入した旧版ではなく、村上春樹さんが新たに翻訳した新版のほう。 2年前に映画「カポーティ」"Capote…

京都2日目・書店巡り

京都に来たら、絶対ハズせない個性派書店2軒、「ガケ書房」と「恵文社一乗寺店」。 まずは自転車で白川通を北上して、ガケ書房を訪れる。昨年の京都旅行では時間がなくて来られなかったので、ずいぶんと久しぶりの訪問だ。 相変わらず、いい感じに車がメリ…